マットレスサイズの最適な選び方(1〜4人暮らし)

マットレスのサイズ選びは簡単そうで、実はかなり奥が深いです。

寝具やマットレスを買う機会は人生でみても多くない上に、サイズの種類が多いので、サイズ感や状況に応じた最適な選び方は難しいと思います。ただし、なんとなくサイズを選んでしまうと後々まで後悔したり、買い替えの頻度が増えるケースがあるため、マットレスにおいてサイズ選びは非常に重要です。

日本のマットレスは日本の国家規格規格である『JIS規格』によって基準が定められているため、それを基にこのページでは主なサイズの規格や各サイズに最適な人、お部屋に合ったサイズ選び、注意点などをプロ目線でご説明します。

【著者紹介】

上級睡眠健康指導士(第733号)。「マットレス」と「睡眠」の専門家。1年で50個以上のマットレスを購入・体験している。睡眠の質やインテリアの観点から多くの人の寝具・マットレス選びを手助けする。快眠ハック

主にマットレスのサイズには以下の7種類があります。

  • セミシングル
  • シングル
  • セミダブル
  • ダブル
  • ワイドダブル
  • クイーン
  • キング

ベッドやマットレスのサイズは、日本規格協会グループが定めた「JIS規格」を基に決められています。JIS規格を基準にマットレスのサイズを下記の表にまとめました。

1. マットレスのサイズ一覧表

マットレスのサイズ 表記 長さ

セミシングル

SS

82cm

195cm

シングル

S

98cm

195cm

セミダブル

SD

120cm

195cm

ダブル

D

140cm

195cm

ワイドダブル

WD

152cm

195cm

クイーン

Q

160cm

195cm

キング

K

180cm

195cm

すべてのメーカーで各サイズのマットレスの取り扱いがあるわけではありません。特にワイドダブル以降の大きなサイズは、取り扱いのないメーカーも多いので注意が必要です。 

マットレスのサイズとして一般的に体の幅にプラス30cmが、快適な睡眠には必要だと言われています。つまり、個人の体格によっても、最適なマットレスサイズは異なりますので事前に確認しておくことが大切です。

2. マットレス各サイズの特徴やメリット・デメリット

ここからは、それぞれのマットレスのサイズにおける特徴やおすすめシーンを紹介していきます。

2-1.セミシングル(SS)

ベッドマットレスのサイズ_セミシングル(SS)

セミシングルのマットレスはマットレスの中でも一番コンパクトなサイズです。幅が80~90cmのものが多く、狭い部屋に置いても圧迫感がありません。

子どもや小柄な方にとっては、コンパクトなセミシングルでも十分快適に眠れます。

また、コンパクトな分軽量なので、女性でも持ち運びしやすいというメリットがあります。シーツ替えやマットレス下の掃除なども手軽に行いやすいサイズです。

とはいえ、シングルサイズよりも16cmほど狭いので、思った以上に狭いと感じる人も少なくありません。寝返りを打つ際には、マットレスから落ちないように注意が必要です。 

そのため、部屋に余裕がある場合は、シングルサイズやセミダブルサイズの方がゆったりと眠れるのでおすすめです。 

2-2.シングル(S)

ベッドマットレスのサイズ_シングル(S)

シングルサイズは最も一般的なベッドサイズです。セミシングルに続き、コンパクトなサイズ感のため一人暮らしの方にも大人気です

6畳の寝室に置くと、部屋の1/4~1/3程度を占めるイメージです。標準的な体型であれば、真ん中に寝ると左右に25cmほどのスペースができるので問題なく寝返りできます。

また、シングルサイズを2つ連結すると、キングサイズのベッドよりも大きいサイズになります。大きなサイズのマットレスを1つ使用するよりも隣の人の寝返りが気になりにくいので、夫婦で1台ずつ使ったり、兄弟用に購入したりといった使い方もおすすめです。

ダブルサイズやクイーンサイズとは違い、1人のスペースを確保したい時にベッドとベッドの間を離して使用することもできます。夫婦がそれぞれの寝室を持った時に、独立して使うこともできるため使い勝手が良いのです。 

2-3.セミダブル(SD)

ベッドマットレスのサイズ_セミダブル(SD)

セミダブルは名前から「二人用」と勘違いされやすいですが、実は一人用のベッドサイズです。シングルサイズよりも余裕のあるゆったりサイズなので、体格のいい方や寝相の悪い方におすすめです。

120cmほどの幅があるので、男性が中央に寝た場合でも左右に30cm以上のスペースを確保できます。少し狭いですが、場合によっては2人で使用することも可能です。 

乳児から幼児くらいの小さな子どもであれば添い寝にも十分な広さなので、4人暮らしの場合はセミダブル2台、もしくはセミダブルとダブルを並べて使用するのがピッタリです。ただし、耐荷重は1人分として設計されているため、大人2人での長期の使用はおすすめできません。 

また、シングルに比べると20cmほど幅が広くなるため、狭い部屋に置くマットレスとしては不向きです。全体的に圧迫感を与えてしまいます。

2-4.ダブル(D)

ベッドマットレスのサイズ_ダブル(D)

ダブルサイズは二人用として使われるのが一般的ですが、体格の良い方が1人でゆったり眠りたい時にもおすすめです。幅が140cmほどあるので、寝返りを打っても余裕があり睡眠の質も上がりやすい環境になります。 

もちろん二人用としても使用できますが、セミシングル2台くっつけて使うよりも幅は20~25cmほど狭くなるため意外とコンパクト。ぴったり密接して眠ることになるため、ゆったり眠りたいという方には不向きなサイズです。

 また、大柄な方が2人で寝ると、かなり窮屈に感じる可能性があります。自由に寝返りを打てないので睡眠の質も悪くなったり、体の一部が圧迫されて痛みを感じてしまうという状況になりかねません。

2-5.ワイドダブル(WD)

ベッドマットレスのサイズ_ワイドダブル(WD)

ワイドダブルの横幅は150cm前後とダブルベッドよりも一回り大きいので、2人で余裕を持って寝たいという方におすすめです。部屋のスペースに余裕があれば、ダブルサイズよりもワイドダブルの方が快適に眠れます。

また、クイーンサイズよりも安価に購入できるので、広いマットレスが欲しいけれどできるだけコストを抑えたいという方にもおすすめです。

ただし、ワイドダブルは珍しいサイズなので、取り扱っているメーカーが少ないのがデメリット。対応しているシーツやベッドフレーム、マットレスカバーなどの寝具も限られてしまいます。

2-6.クイーン(Q)

ベッドマットレスのサイズ_クイーン(Q)

横幅160cm前後のクイーンベッドはセミシングルの2倍、シングルサイズの約1.5倍の広さのマットレスです。大人2人でも余裕を持って眠ることができます。

また、小さい子どもであれば、3人でも使用することができます。ただし、幅がかなり大きくなるため、ある程度のスペースが必要です。

一般的に8畳ほどの寝室であれば置くことができますが、マンションやアパートにお住まいの場合は、ドアや通路、エレベーターの幅などマットレスの搬入ができるかどうかも確認しておく必要があります。

最近では圧縮梱包で配送するところも多くなったため搬入は楽になりましたが、引越しの時を考えるとセミシングル2台を連結する(もしくはクイーンが2分割されているものを選ぶ)のがおすすめです

連結したマットレスのメリットとしてお互いの振動が伝わりにくいので、パートナーを起こしてしまうリスクが少なくなることが挙げられます。

ただし、分割部分は寝姿勢が崩れやすいのがデメリット。中央部分に寝返りを打った時に、体が沈み込みすぎてしまったり、マットレスがズレて隙間ができてしまうのが欠点です。

2-7.キング(K)

ベッドマットレスのサイズ_キング(K)

キングサイズは最大サイズのマットレスで、幅はシングルサイズの2倍弱の180cm前後です。キングサイズのマットレスのうち、200cmを超えるようなさらに大きなものを「ワイドキングサイズ」と呼ぶこともあります。

とにかく大きいのが特徴で、複数人でもゆったりと寝ることができます。ただし、大きいがゆえのデメリットとして、日本の集合住宅ではキングサイズのマットレスが搬入できないケースも少なくありません。

また、キングサイズ自体が珍しいため、ベッドフレームやシーツなど寝具アイテムも限られてしまいます。値段もそれぞれが高額になるため、簡単に買い替えができないのもデメリットです。

3. お部屋に合わせたマットレスのサイズ選び

ここからは、お部屋の広さごとに適切なマットレスサイズを紹介していきます。できるだけ大きいマットレスが欲しいけど、部屋に入るか分からないという方は参考にしてください。

3-1.4畳のレイアウト

ベッドマットレスのサイズ_4畳レイアウト

[左上] セミシングル 幅82cm x 長さ195cm
[右上] シングル 幅98cm x 長さ195cm
[左下] セミダブル 幅120cm x 長さ195cm
[右下] ダブル 幅140cm x 長さ195cm

4畳の寝室の大きさは6.48㎡です。部屋の形にもよりますが、正方形であれば部屋の一辺は255cmになります。ドアの開閉や移動スペースを考えると、4畳の寝室に置けるマットレスはセミシングル~ダブルベッドまでがおすすめです。

セミダブルサイズであればまだ余裕がありますが、ダブルベッドを置くとほぼ寝室がいっぱいになってしまいます。コンパクトなナイトテーブルが置ける程度のスペースが余るイメージです。机やソファを置きたい場合は、セミダブル以下のサイズがおすすめです。

3-2.6畳のレイアウト

ベッドマットレスのサイズ_6畳レイアウト

[左上] シングル 幅98cm x 長さ195cm
[右上] セミダブル 幅120cm x 長さ195cm
[左下] ダブル 幅140cm x 長さ195cm
[右下] ワイドダブル 幅152cm x 長さ195cm

6畳の部屋の面積は約9.7㎡となります。6畳の場合は長方形が一般的で、348×261cmほどに設計されていることがほとんどです。6畳ほどの広さがあれば、ダブルサイズのマットレスを置いてもさほど圧迫感を与えません。 

マットレスの他にもナイトテーブルや小型のソファなどを置くこともできるでしょう。クイーンサイズだとギリギリになりますが、他に家具を置かなければ十分寝室として使用することは可能です。部屋に余裕が欲しい場合は、ワイドダブルまでが適当です。 

3-3.8畳のレイアウト

ベッドマットレスのサイズ_8畳レイアウト

[左上] シングル 幅98cm x 長さ195cm
[右上] ダブル 幅140cm x 長さ195cm
[左下] クイーン 幅160cm x 長さ195cm
[右下] キング 幅180cm x 長さ195cm

8畳の寝室の場合、部屋の広さは約12.96㎡です。正方形の部屋であれば一辺は3.6m程度。ダブルサイズやクイーンサイズ、キングサイズであっても十分に置くことができます。

キングサイズを中央に置いても、左右にナイトテーブルを置くスペースを確保できます。他の収納家具も置けるので、いろいろなレイアウトを楽しむことができるでしょう。ただし、部屋の広さ的には十分でも、ドアから搬入できない可能性もあります。マットレスがどの状態で運び込まれるのかを確認し、搬入口を確保しておきましょう。

4. マットレスのサイズを選ぶ際の注意点

ベッドサイズ_選び方注意点

マットレスにはさまざまなサイズがあるため、どのサイズを選んだらいいか迷う方も少なくありません。マットレスのサイズ選びの際には、下記の点に注意して選ぶようにしましょう。

  • 身長が高い方にはロングサイズがおすすめ
  • 床置きマットレスは厚みがないため「底つき感」に注意
  • サイズ拡大のための「連結」はズレやすい
  • ベッドマットレスの周りのスペースを確保する
  • マットレスのサイズに合ったベッドフレームを

ここからは、それぞれの注意点を詳しく解説していきます。

4-1.身長が高い方にはロングサイズがおすすめ

セミシングル・シングル・セミダブル・ダブル・ワイドダブル・クイーン・キングのサイズは、幅によって決まっています。長さはサイズに関わらず、195cmが一般的です。

ただし、「ロングサイズ」という縦幅が長いタイプのマットレスも販売されています。ロングサイズのマットレスの場合、縦幅はおよそ205~215cmです。一般的なマットレスと比べると、20~25cmほど長くなります。

ロングサイズのマットレスは、身長180cm以上の方におすすめです。寝相や部屋の広さにもよりますが、身長180cm以上の方はロングサイズのマットレスも検討してみましょう。 

ロングサイズ以外に、縦幅がおよそ180cmのショートサイズマットレスもあります。一般的なマットレスよりも15cm短いので、ワンルームでもコンパクトに置くことが可能です。

ショートサイズのおすすめは、お子様や身長が160cm未満の小柄な方です。160cm以上の方にとっては窮屈に感じられてしまうので、160cm以上180cm未満の方は、平均サイズのマットレスを使用するのが無難です。

4-2.床置きマットレスは厚みがないため「底つき感」に注意

ベッドフレームを使わずに、床に直置きする場合は厚さにも注意しなければなりません。薄いマットレスの場合は底つき感が出て、床の硬さや冷たさが伝わりやすくなります。

寝心地が悪くなるだけではなく、寝姿勢が崩れることで腰痛や肩こりの原因にもなりかねません。最低でも8cm以上の厚さのマットレスを選ぶのがおすすめです。

ただし、床置きは湿気がこもりやすく、厚ければ厚いほどカビやダニの発生原因となってしまいます。

また、厚いと重くなるので、メンテナンスも重労働です。こまめに壁に立てかけて、風通しできるよう8cm以上15cm未満のものが理想。マットレスの底つき感を回避するために、適切な厚みのマットレスを選ぶようにしましょう。

4-3.サイズ拡大のための「連結」はズレやすい

セミシングルやシングルサイズのマットレスを連結して、クイーン・キングの大きさで使う方もいます。連結させると、隣の人の寝返りの振動が伝わりにくいのでお互いに快適な睡眠を実現できます。 

とはいえ、それぞれが独立したマットレスなので、中央に体重がかかるとズレて隙間が生じやすいというデメリットもあります。2台のマットレスのズレを防ぐためには「マットレス固定ベルト」が効果的です。マットレスの側面にバンドを回して使用します。

また、隙間を埋めるための「隙間パッド」も販売されています。洗えるタイプの隙間パッドもあるので、衛生面でも安心です。マットレスの厚さやサイズが違う場合は、ズレも生じやすいので注意しましょう。

4-4.ベッドマットレスの周りのスペースを確保する

寝室いっぱいにベッドマットレスを配置すると、移動やベッドメイキングがしにくくなってしまいます。ベッドマットレスだけでなく、他の家具も置く場合は特にスペースに注意です。

まず、ベッドメイキングのために、壁から10cmほどは離しておくようにしましょう。シーツを交換するために、反対側には30~40cm程度のスペースは空けておきたいところです。

また、ベッド周りを歩く必要がある場合は、最低でも50cm以上の通路幅が必要です。

次にクローゼットや収納ベッドの引き出しがある場合です。ドアの開閉や物の出し入れを行うため、ベッドとの間には90cmほどのスペースを空けておきましょう。スペースがないと、スムーズに出し入れができずストレスになってしまいます。 

さらに、タンスやチェストを置く場合は、出し入れに加えて人がかがむスペースも空けておかなければなりません。ベッドとの間は75cm以上あると、容易に出し入れできるでしょう。

最後はデスクを置く場合です。座る前に椅子を引く必要があるので、70cmほどのスペースが必要になります。ただし、70cmのスペースの場合、椅子の真後ろにベッドがある状態になり、人が通れません。通路を確保しておきたい場合は、110cmほどのスペースが必要です。

4-5.マットレスのサイズに合ったベッドフレームを

ベッドセットを選ぶ際は、ベッドフレームよりも先にマットレスを選ぶのが一般的です。まずは、家族構成や体型に合ったサイズのマットレスを選び、マットレスのサイズが決まってからそれに合わせたベッドフレームを探しましょう。

ベッドフレームを選ぶ際には、サイズ以外に下記のようなポイントに注意する必要があります。

  • デザインやカラー
  • 素材
  • 床板

ベッドフレームには地面から近いロータイプやベッド下に収納スペースのある収納付きタイプ、ヘッドボード部分に照明や棚が付いているキャビネットタイプなどがあります。デザインのタイプによってはマットレスのサイズと合わなかったり、ロフトベッドや2段ベッドのような高さのあるベッドでは重量制限があるので注意しましょう。 

次のポイントはベッドフレームの素材です。木製の他に、布で覆われているファブリックフレームや高級感のあるレザーフレーム、軽量で安価なパイプフレームなどがあります。インテリアの雰囲気に合った素材を選ぶようにすると、ベッドが部屋に馴染んで生活の質や満足度も上がります。

最後は床板ですが、マットレスの底部にあたる部分のことで「すのこ状」と「板状」があります。マットレスには湿気が溜まりやすいので、湿気を逃がすためにもすのこ状がおすすめです。板状は冷気が入りにくいので暖かい反面、湿気を逃がすために定期的なメンテナンスが必要です。

5. まとめ

ベッドサイズ_まとめ

マットレスのサイズについて、具体的な数値や選び方のポイントを解説してきました。日本で販売されているマットレスは、JIS規格をもとにサイズが決定されています。セミシングル・シングル・セミダブル・ダブル・ワイドダブル・クイーン・キングの7種類あり、それぞれにメリット・デメリットがあるので注意しましょう。 

部屋のサイズや体格、家族構成に合わせて最適なマットレスのサイズを選ぶことで、ベストな寝室になります。マットレスのサイズは睡眠の質にも関わってきますので、慎重に選ぶことをおすすめします。

また、サイズだけでなく、素材やデザイン、ベッドフレームなども比較・検討しながら快適な睡眠環境を整えましょう。