腰痛にはこっちがおすすめ!高反発と低反発マットレスを比較

腰痛持ちの方がマットレス選びに失敗すると、腰痛が悪化する可能性が非常に高いです。

しかし、

  • 「腰痛には高反発と低反発どちらが向いている?」
  • 「腰痛の緩和に適したマットレスの選び方は?」

と悩んでいる方も安心してください。

腰痛持ちの方がマットレスを選ぶ際に必要な情報をそろえましたので、ご自身にぴったりのマットレスを選べると思います。

このページでは、低反発・高反発の違いやメリット・デメリット、腰痛持ちにはどちらが向いているのか、腰痛におすすめの選び方などについてご紹介します。

今の腰痛に対して「少しでも良い影響のあるマットレスを選びたい」、と考えている方はぜひ最後までご覧ください。

【著者紹介】

上級睡眠健康指導士(第733号)。「マットレス」と「睡眠」の専門家。1年で50個以上のマットレスを購入・体験している。睡眠の質やQOLの観点から多くの方の寝具・マットレス選びを手助けする。→快眠ハック

 

1. 低反発・高反発マットレスとは?

耳にしたことがあるかもしれませんが、マットレスには「低反発」と「高反発」があり、どちらも「ウレタンフォーム」というスポンジのような素材から作られています。

そして、「反発」とはマットレスの跳ね返す力のことです。反発力(弾力)が高ければ高いほど、体をサポートしてくれます。その他に、低反発か高反発かは体へのフィット感や通気性などにも大きく影響を与えるポイントです。

反発力は日本産業規格(JIS)によって数値化され、低反発なのか高反発なのかが区別されます。反発力が弱ければ『低反発』、強ければ『高反発』となっているのです。

(細かな定義についてはこのページの最終章で記載します。)

 

2. 低反発と高反発マットレスの違いを比較

ここからは、低反発マットレスと高反発マットレスがどのように違うのか、具体的に解説していきます。睡眠への影響についても解説しますので、マットレス選びの参考にしてください。

(1) 寝心地

腰痛マットレス_寝心地

低反発マットレスは「やわらかめ」、高反発は「かため」の寝心地が一般的です。低反発マットレスは体が程よく沈み込むため、包み込まれるような寝心地になります。ただし、体重が重い方にとっては寝返りしづらく、寝心地が悪いと感じる方もいます。

好みもありますが、小柄な女性や体重55kg以下の方は低反発でやわらかめのマットレスがおすすめです。高反発だとフィット感が得られず、体とマットレスの間に隙間が生じて寒いと感じる可能性があります。

一方、体重70kg以上の大柄な方であれば、高反発マットレスがおすすめです。ベッドで体が沈み込み過ぎないので、スムーズに寝返りを打つことができます。

(2)反発力(弾力)

「反発力」は弾力とも表現されます。かたさとは違い『マットレスの跳ね返す力』のことで、起き上がりや寝返りに大きく影響するものです。高反発マットレスの方が、起き上がりや寝返りがしやすくなります。

逆に、低反発マットレスは反発力がないため、マットレスのサポート力なしでも問題なく起き上がれるような筋力が必要になります。

(3) フィット性

腰痛マットレス_フィット性

低反発マットレスは高反発マットレスよりもフィット感が高めです。体に合わせて沈み込み、吸いつくようなフィット感があります。体重が重い方が使用すると、体が沈み過ぎることもあるので注意が必要です。

一方、高反発マットレスは程よいフィット感はありますが、反発力が高いため体が沈み過ぎるのを抑えてくれます。痩せ型の方の場合はフィット感をあまり感じられず、腰が浮いてしまう可能性もあります。

(4) ヘタりにくさ

腰痛マットレス_ヘタりにくさ

マットレスのヘタりにくさの点では、高反発マットレスの方が高いのが一般的です。反発力が高い分、体重によってマットレスの変形が生じにくいため長く使うことできます。 

低反発マットレスはやわらかい分、変形しやすいというデメリットがあります。特に最も体重のかかる腰部分は、睡眠中に凹んでしまうためヘタりが生じやすくなります。

お手入れ方法や品質、素材の密度によっても変わってきますが、耐久年数は低反発が35年、高反発が58年が目安です。

(5) 通気性

腰痛マットレス_通気性

一般的に通気性が高いのは、高反発マットレスです。低反発マットレスは体にしっかりフィットするため、「蒸れやすい」と感じる方も少なくありません。特に夏場や湿気の高い時期は、寝苦しく感じてしまうでしょう。

また、高反発マットレスには波形カットなど通気性を高める加工が施されることが多いですが、低反発マットレスには素材の性質上あまり加工には向いていません。そのため、低反発マットレスに加工が施されているものはほとんどなく、通気性の観点では全体的に高反発より劣ります。

(6) 価格帯

低反発マットレスの価格相場は1~5万円前後です。中には3千円ほどで買える格安商品もありますが、品質が悪いものが多いので避けた方が無難でしょう。耐久性も低いので、数年で買い替えることになってしまい結果的にコスパが悪くなってしまいます。

高反発マットレスの価格相場は3~8万円程度と、低反発マットレスよりは高めになります。中には20万円以上するものもある程です。ただし、10年以上使えるケースもあるので、価格だけでなく耐久性や寝心地などを総合的に見て判断するようにしましょう。

 

3. 低反発と高反発マットレスのメリット・デメリット

腰痛マットレス_低高反発マットレスそれぞれメリットデメリット

ここからは、低反発と高反発マットレスのメリットとデメリットをそれぞれ解説していきます。

(1) 低反発マットレス

腰痛マットレス_低反発マットレス

GreenTea Luxe マットレス ウレタンフォーム 低反発 緑茶 活性炭 20cm

  • メリット
  1. 体のウェーブにフィットしやすい
  2. 包まれるような寝心地で安心感がある
  3. 比較的安価に購入できる
  • デメリット
  1. 寝返りに力を要する
  2. ヘタりやすい
  3. 蒸れやすい 

低反発マットレスは包まれるような寝心地なので、やわらかいマットレスが好きな方に好まれるマットレスです。しかし、沈みやすいという特徴があるため、体重が重い方や暑がりの方にはおすすめできません。

(2) 高反発マットレス

高反発 マットレス 三つ折り ウレタンフォーム クッションソファー 9cm

  • メリット
  1. 寝返りによる腰の負担が少ない
  2. 耐久性は高め
  3. 正しい寝姿勢を保ちやすい
  • デメリット
  1. 体が慣れるまでに時間がかかる
  2. 寝心地がよくないマットレスも多い
  3. 横向き寝では肩こりになりやすい

高反発マットレスはかための寝心地が好きな方におすすめです。反発力が高く寝返りや起き上がりをサポートしてくれるため、寝返りが多い方にも向いているマットレスといえます。

また、体が沈み過ぎないので、体重が重い方でも快適に眠ることができます。反対に瘦せ型の方は、高反発マットレスは向いていません。

 

4. 腰痛には低反発と高反発マットレスどちらがおすすめ?

腰痛マットレス_低反発と高反発マットレスどちらがおすすめ?

腰痛持ちの方には、高反発マットレスがおすすめです。

腰をしっかり支えてくれるので、理想的な寝姿勢を保つことができます。反発力が高く、寝返りや起き上がりの力が少なくて済むので腰痛を感じにくいというメリットもあります。

また、実際に使ってみて、高反発マットレスが「かたい」と感じた場合はトッパーで寝心地を調整することも可能です。低反発マットレスの上にトッパーを敷くと、不自然なかたさになってしまうため腰痛対策の効果は実感しにくいでしょう。

ただ、全ての腰痛持ちの方に高反発マットレスが合うとは限りません。低反発マットレスは体の線にフィットするので、ウェーブのある腰にもなじんでくれます。反り腰によって腰が浮きがちな方にとっては、低反発マットレスの方が腰痛を感じにくい場合もあります。

詳しい選び方はこの後説明します。

 

5. 腰痛におすすめのマットレスの選び方6つ

腰痛におすすめのマットレスを選ぶ際には、下記のポイントを押さえるようにしてください。 

  1. 体重に合ったかたさを選ぶ
  2. 起き上がりの負担を軽減したいなら分厚いマットレスがおすすめ
  3. 反発力があるに越したことはない
  4. 低反発と高反発のハイブリッド構造も視野に入れる
  5. 腰部分だけかたいマットレスなら程よく寝返りが打ちやすい
  6. 店頭で試して「腰が浮かない感覚」を知る

ここからは、それぞれのポイントについて具体的に解説していきます。

(1) 体重に合ったかたさを選ぶ

使用する方の体重によって、適切なかたさは異なります。マットレスに寝転がった時にお尻と腰に同じ圧力、またはそれに近い圧力のかたさのマットレスを選ぶようにしましょう。

ウレタンマットレスのかたさは「N(ニュートン)」という単位で表現されます。明確な定義はありませんがそれぞれの目安のかたさは以下の通りです。

素材 かたさ目安

低反発マットレス

75N未満

高反発マットレス

110N以上

 75N未満のマットレスは「やわらかめ」で体重50kg以下の方におすすめです。75N以上110N未満の普通のかたさのマットレスは、痩せ型~普通体型の方にちょうど良いかたさになります。

110N以上は「かため」の寝心地で、60kg以上の方にぴったりです。100kg以上の体重の方は、200Nくらいのかたさを目安に選ぶのがおすすめです。体重に合わせて適切なかたさのマットレスを選ぶことで、腰痛悪化の予防につながります。

(2) 起き上がりの負担を軽減したいなら分厚いマットレスがおすすめ

低い位置から起き上がろうとすると、腰への負担が大きくなるものです。そのため、腰痛持ちの方は分厚いマットレスにすることで高さができ、腰への負担を減らすことができます。

さらに、ベッドフレームを使用することで、より高さが出るので腰に優しくなり起き上がりが楽になります。ちなみに、ベッドフレームは腰痛予防のためだけでなく、通気性を良くするためにも使用を推奨しております。

(3) 反発力があるに越したことはない

似たようなかたさのマットレスで迷っている場合は、反発力が高い方のマットレスを選ぶのがおすすめです。反発力が高いことで、腰が沈み込み過ぎず寝返りをサポートしてくれます。 

寝返りが打てず腰が沈み込んだままになると、血流が悪くなり腰痛が悪化してしまう可能性があります。

体重に適したかたさのマットレスであれば、反発力があるに越したことはありません。反発力があることによるデメリットはほとんどないため、できるだけ反発力のあるマットレスを選ぶようにしましょう。

(4) 低反発と高反発のハイブリッド構造も視野に入れる

腰痛マットレス_低反発と高反発のハイブリッド構造

腰痛持ちの方にとって、マットレスはやわらか過ぎてもかた過ぎても良くありません。やわらか過ぎると腰が沈み込んでしまい、かた過ぎると不自然な寝姿勢になってしまうことで腰痛につながることがあるからです。 

低反発と高反発、両方の良さを取り入れたマットレスが「ハイブリッド構造」です。ハイブリッド構造のマットレスは、上層が低反発で下層が高反発という複数層構造になっています。多くのハイブリッドマットレスは低反発層が薄く作られているため、高反発の弾力を受けつつも体にフィットしやすいという機能性です。 

そのため、高反発か低反発かを無理に決める必要がありません。マットレスの価格が高くなってしまうのが難点ですが、予算に余裕がある方や機能性を重視したい方には非常におすすめの構造です。

(5) 腰部分だけかたいマットレスなら程よく寝返りが打ちやすい

マットレスのエリアによってかたさが異なり、腰部分だけかために作られている構造のことを『センターハード構造』といいます。腰がしっかり支えられるため寝返りが打ちやすく、肩回りはやわらかいためフィットしやすいというメリットがあります。

横向き寝をしても背骨を真っすぐ保ちやすいため、きれいな寝姿勢を保つことが可能です。腰が沈み込み過ぎないため、腰痛の予防にもつながります。また、肩回りがフィットすることで、肩こりにも良い影響があります。

(6) 店頭で試して「腰が浮かない感覚」を知る

腰が浮くかどうかという感覚は、いくつものマットレスを実際に比べてみないとなかなか分かりません。そのため、店頭でたくさんのマットレスに寝転がってみて、腰が浮かない感覚を実感してみるようにしましょう。

例え目視で浮いていないと感じたり、寝転がった状態で腰部分に手が入らなかったりしても、実際には腰部分がちゃんと支えられていないこともあります。腰部分が支えられているかどうかを実感するためにも、必ず意識してマットレスに寝転がってみるようにしましょう。

最近ではネット通販専門のマットレスもあり、店頭で実際に試すのが難しいことも少なくありません。しかし、ネット通販専門のマットレスブランドの場合でも、店舗にある他のマットレスのかたさ(ニュートン値)を店員さんに聞いておくことでマットレス選びの精度が高くなるでしょう。

 

6. 低反発と高反発のマットレスの見分け方は?

低反発か高反発かを見分けるのは非常に難しいことです。ここからは、低反発と高反発マットレスをどのように見分けたら良いのかを解説していきます。

(1) 実はかたさによって区別されているわけではない

低反発か高反発かを、マットレスのかたさで判断する方は少なくありません。確かに「高反発=かたい」とイメージしてしまいますよね。しかし、実はかたさと反発力は同じではありません。

「かたさ」は『体重に対する潰れにくさ』であり、「反発力」は『体を跳ね返す力』の強さを指しています。多少やわらかめの寝心地でも反発力が強いマットレスもあるので、混合しないようにしましょう。

(2) 「反発弾性率」によって低反発・高反発は決まる

「反発弾性率」は日本産業規格(JIS)によって数値化されたウレタンフォームマットレスの反発力のことです。ある条件で鋼球をマットレスに落として跳ね返った位置に応じて、反発弾性率を割り出します。

低反発や高反発ウレタンの反発弾性率については、下記の表を参考にしてください。

マットレスの種類 反発弾性率

低反発ウレタン

15%未満

一般ウレタン

15~49%

高反発ウレタン

50%以上

 この反発弾性率の区分は2021年に規定が変わったばかりです。そのため、現在販売されているマットレスに「高反発」と表記されていても、実は一般ウレタンであることがほとんどなので注意しましょう。

(3) 低反発・高反発はココを見れば見分けられる!

表記が混同しているので見分けるのが難しいマットレスの反発力ですが、商品情報に「低反発」と記載されているものはほとんどの場合は低反発マットレスで間違いありません。

高反発マットレスを選ぶ際には、商品ページや品質タグに「高弾性」「反発弾性率50%以上」といった表記があるものを選びましょう。これらのワードがなく高反発と書かれているものは、正式な高反発ではない可能性が高いため注意してください。

以上の方法でほぼ確実に低反発・高反発を見分けることができますので、マットレス選びの参考にしてみてください。

 

7. まとめ

腰痛マットレス_選び方注意点まとめ

腰痛持ちの方におすすめのマットレスについて解説してきました。起きた時に腰が痛いと、どうしても寝覚めが悪くなったり、朝から気分が下がってしまいます。腰に優しいマットレスを選ぶことで、睡眠の質・生活の質を高めていきましょう。

マットレスには低反発と高反発がありますが、腰痛の方にはどちらかというと高反発がおすすめです。とはいえ、腰痛の種類や体格によっては低反発の方が合うという方もいます。実際にマットレスのかたさや反発力を体感してみて、自分に合ったマットレスを選ぶようにしましょう。