ポケットコイルもボンネルコイルも、どちらも『コイルマットレス』に分類されますが、特徴や機能性は全く異なります。そのため、なんとなく決めてしまうと多くの方が後悔してしまい、体 を痛めたり買い替えたりするというケースも。
「自分に合ったマットレスを選びたい…!」という方に対して、ポケットコイルとボンネルコイルの違いやメリット・デメリット、おすすめの選び方についてご紹介します。
多少専門的な内容にはなりますが、極力わかりやすく説明します。自分に最適なマットレスを選ぶ上では絶対に必要な情報をまとめていますので、ぜひ最後まで参考にしてください。
【著者紹介】
上級睡眠健康指導士(第733号)。睡眠と寝具の専門家。1年で50個以上のマットレスを購入・体験していて、環境や体形に合わせたマットレス選びを得意としている。→快眠ハック
1. マットレスの種類
マットレス
| コイルマットレス | ノンコイルマットレス |
| ポケットコイル、ボンネルコイル | ウレタンマットレス、ファイバーマットレス、ラテックスマットレス、その他 |
マットレスの種類は大きく分けて「コイルマットレス」と「ノンコイルマットレス」の2種類があります。これはマットレスの素材を表す言葉で、クッション材にバネを使ったものが「コイルマットレス」、ウレタンやファイバー、ラテックスなどバネ以外の素材を使ったものは「ノンコイルマットレス」と呼ばれています。
1-1.コイルマットレス
1-1-1.コイルマットレスのメリット
コイルマットレスは、スプリングマットレスとも呼ばれます。バネ(スプリング)を使っているため、マットレスの弾力が強いのが特徴です。弾力が強いことで寝返りや起き上がりが楽になり、腰痛に対しても良い影響を与えます。
また、ノンコイルマットレスと比べるとヘタりにくく、耐久性も高くなります。頻繁に引っ越しをしない方にとっては長く使えるためおすすめです。
1-1-2.コイルマットレスのデメリット
デメリットとしては、ノンコイルマットレスに比べて厚みや重さがあることが挙げられます。力のない方や女性の場合、気軽に持ち運びできる重さではありません。移動用や来客用のマットレスとしては不向きなタイプです。
1-2.ノンコイルマットレス
1-2-1.ノンコイルマットレスのメリット
ノンコイルマットレスはバネを使用していない分、軽量で比較的安価に購入できるのが特徴です。持ち運びしやすく、普段の取り扱いがしやすいものが多くなります。
また、コイルマットレスと比べると、ノンコイルマットレスは廃棄も楽です。分解すれば、家庭ごみとして捨てることができます。粗大ごみとして処理するしかないコイルマットレスに比べると、環境にも優しいマットレスといえます。
1-2-2.ノンコイルマットレスのデメリット
コイルマットレスと比べると耐久性が低く、ヘタりやすいのがデメリットといえます。10年程度の使用にはあまり向いていないのがノンコイルマットレスです。
また、素材にもよりますが多くのノンコイルマットレスは、コイルマットレスよりも通気性が良くありません。コイル部分には空間ができているため、その部分が詰まっているノンコイルマットレスは放熱・放湿をしにくいのです。
2. コイルマットレスの種類
コイルマットレスの中にも、いくつかの種類があります。ここからは、コイルマットレスの種類について、詳しく解説していきますので参考にしてください。
2-1.「ポケットマットレス」と「ボンネルマットレス」の2種類
コイルマットレスは大きく分けて「ポケットマットレス」と「ボンネルマットレス」の2種類があります。
ポケットマットレスは、たくさんのコイルが並び、それぞれが個々に動くため「点」で支えるタイプです。一方ボンネルマットレスは、全体のコイルが連結されていて「面」で支える一体式のタイプです。
それぞれの特徴やおすすめの方については後述しますが、先にコイルの品質について説明します。コイルの品質を見ることで、大まかな耐久性や寝心地を判断することができます。
以下で説明するコイルの品質は、『品質表示ラベル』に書かれていることもあれば書かれていないこともありますので、気になる方はメーカーや販売店に確認してしましょう。
2-1-1.コイルの線材
コイルマットレスの素材に使われるコイルは、「硬鋼線」「ピアノ線」の2種類です。これは、ポケットマットレスもボンネルマットレスも同じ指標になります。
品質表示ラベルで「SWRH」と書かれているものは硬鋼線、「SWRS」とあれば「ピアノ線」を使っているという意味です。
2-1-2.硬鋼線
硬鋼線は、ほとんどのコイルマットレスで使われている線材になります。
マットレスの表示に『SWRH70B A種』と記載されている場合、硬鋼線で炭素の含有量が「70」、マンガン含有量が「B」ランク、さらに硬鋼線の引張強度が「A」ランクということになります。
炭素含有量の数値が多ければコイルが変形しにくいことを表しています。一般的に62~82で表されることが多いです。
マンガン含有量は「A<B」と多くなるにつれ、柔軟で切れにくくなります。炭素やマンガンの含有量が多ければ多いほど、耐久年数は高くなるということです。
最後の引張強度は「A<B<C」で表されますが、『炭素含有量』の数値と似た意味で、概ね比例するため特に気にしなくていい指標です。
2-1-3.ピアノ線
ピアノ線は精密機器に使用されるほどの高級線材であり、規格が厳しく設けられています。そのため質が良く、耐久性に優れているのです。
ピアノ線を線材として使用している場合、品質ラベルには「SWRS」と表示されます。炭素の保有量は、77~92程度が一般的です。
しなやかで丈夫なため10年以上使えるとも言われており、詰め物や生地が劣化しなければ長期間使用が可能です。高品質なピアノ線ですが、使用されているマットレスが少ないのがデメリットとして挙げられます。できるだけ高品質な線材のマットレスが欲しいという方は、ぜひピアノ線を使ったコイルマットレスを探してみてください。
2-1-4.コイルの線径
コイルに使われる線材は、それぞれ太さが異なります。この線材の太さを表す言葉が「線径」です。表示によっては「線材の直径」などという言葉が使用されることもあります。
ポケットマットレスもボンネルマットレスも同じく、線径が太ければ太いほど硬い寝心地になり、反対に細ければ細いほど柔らかい寝心地になります。
寝心地の目安としては、下記を参考にしてください。
- 線径 1.7㎜:柔らかめ
- 線径 1.9㎜:ふつう
- 線径 2.1㎜:硬め
とはいえ、マットレスに使われている線材やコイルの配列などによっても寝心地は変わるため、線径も参考程度にチェックしておきましょう。
2-1-5.コイル数
コイル数はポケットコイルに限った指標です。コイルの数はある程度多いと、体圧分散性が高くなるため正しい寝姿勢になる傾向にあります。ただしコイルを多く使っている分、値段も高くなるので注意しましょう。
一般的なポケットコイルマットレスのコイル数は、シングルサイズで450個程度です。コイル数が全てではありませんが、400個以下のマットレスは寝心地や耐久性が悪くなる可能性があるためできるだけ避けた方が無難です。
2-1-6.コイル配列
コイル配列もポケットコイルマットレスに限った指標になります。ポケットコイルの配列は「並行配列」と「交互配列」の2種類です。
ポケットコイルを並行にならべた「並行配列」は、コイル同士の隙間ができるので柔らかめな寝心地になります。跳ね感がある分、寝返りも打ちやすいのが特徴です。最近ではポケットコイルマットレスも圧縮されて届くものが多いですが、それらは圧縮の関係上すべて並行配列となります。
一方「交互配列」では、その名の通りコイルを交互に隙間なく敷き詰めています。隙間が少ない分、しっかりした寝心地になるのが特徴です。体圧分散性に優れたポケットコイルにしたいけれど、柔らかすぎるマットレスはあまり好きではないという方は「交互配列」がおすすめです。
3. ポケットコイルマットレス
ここからは、ポケットコイルの特徴や選び方のポイントについて、詳しく解説していきます。
3-1.ポケットコイルの特徴
ポケットコイルは小さな袋(不織布)に入ったバネが大量に並べられていて、それぞれが点となり体を支えています。そのため、ボンネルコイルマットレスに比べて体圧分散性に優れているのが特徴です。
また、それぞれのコイルが独立しているため、横揺れやきしみ音も少なくなります。隣で寝ている人の寝返りも伝わりにくいので、2人以上の場合でも快適に寝ることができます。
ボンネルコイルと比べれば通気性はやや劣りますが、蒸れやすいというほどではありません。通常のメンテナンスさえ怠らなければ、ある程度長く使用できます。
値段はやや高めですが、多くの方に合いやすい構造や機能性のため、高級ホテルに導入されているマットレスの多くはポケットコイルになっています。
ただし、厚みがあり重たいので持ち運びはかなり大変です。20〜30㎏前後の重量があるため、引っ越しや頻繁な移動を考えている方には不向きなマットレスです。
3-2.ポケットコイルマットレスのおすすめの選び方
ポケットコイルマットレスを選ぶ際には、「コイル品質」「詰め物」「通気性」に注意して選ぶことがポイントです。
3-2-1.コイルの品質
コイルは前述したように、炭素やマンガンの含有量が高い硬鋼線を使用しているものか、ピアノ線を使ったマットレスを選ぶようにしましょう。バネを良い状態で長く保つことができます。
3-2-2.詰め物の厚みと密度
詰め物の層が薄いマットレスだと、コイルの硬さが直に体に伝わってしまいます。その結果、肩こりや腰痛の原因になり、不快感が生じるため注意しましょう。目安としては、5〜8cmの厚みがある詰め物がおすすめです。
一般的に詰め物には、ウレタン素材や綿、ポリエステルなどの素材が使用されます。一番高品質なのは羊毛ですが、値段も高額になります。抗菌・防ダニなどの機能を揃えたポリエステル綿も増えてきていますので、購入時にはチェックしてみましょう。
ノンコイルマットレスに比べて耐久性の高さがコイルマットレスの特徴ですが、詰め物自体が劣化してしまうとマットレスは使い物になりません。長く使用するためにも、密度の高い詰め物(ウレタン)を使っているコイルマットレスを選ぶようにしましょう。
ウレタンの密度と耐久年数の目安は下記の表にまとめました。なお、『低反発ウレタン』と『高反発ウレタン』で密度の目安は異なるため注意してください。
| 耐久年数の目安 | 密度(高反発) | 密度(低反発) |
| 1〜3年 | 20~30D | 30~40D |
| 3〜5年 | 30~35D | 40~45D |
| 5〜7年 | 35~40D | 45~50D |
| 8〜10年 | 40~50D | 50~60D |
※耐久年数は使用環境により異なります。
3-2-3.通気性
最後のポイントは「通気性の良さ」です。ポケットコイルの通気性が悪いというわけではありませんが、コイルが不織布に包まれていることもあり、ボンネルコイルよりは通気性がわずかに劣ります。そのため、側面にベンチレーター(通気孔)が付いているものや、詰め物のウレタンが波形にカットされているものなど、マットレス自体に通気性を良くする工夫があるものを選ぶと安心です。
3-3.こんな方におすすめ
ポケットコイルマットレスは下記のような方におすすめです。
- 予算よりも上質な睡眠を重視
- きれいな寝姿勢で眠りたい
- 2人以上で一緒に使いたい
ポケットコイルマットレスは、体圧分散性や寝返りの打ちやすさ、寝姿勢、通気性、耐久性など、多くの点で優れているため比較的どんな方にもおすすめできるタイプといえます。ただし、製造時のコストがかかっているため、値段がやや高めな点はデメリットです。また、コイル品質や詰め物によって体に合うかどうかは大きく変わるため、前述した「選び方」を参考にしてみてください。
そして、体圧分散性に優れているポケットコイルマットレスは、隣で寝ている方の振動が伝わりにくいという特徴があります。睡眠を邪魔することなく快適に寝ることができるため、夫婦や家族など複数方で使用する場合にも活躍します。
4. ボンネルコイルマットレス
次にボンネルコイルの特徴やおすすめの選び方を紹介していきます。
4-1.ボンネルコイルの特徴
ボンネルコイルマットレスは一定間隔に並べたコイルをワイヤーで固定し、マットレスのクッション層に使用しています。マットレス全体の"面"で体を支える「一体式」であるため、体が沈み込み過ぎず硬めの寝心地が特徴です。
コイルが不織布に包まれていない分、ポケットコイルよりも少し通気性に優れています。カビやダニの発生を抑える効果もより期待できるでしょう。
ただし、隣で寝ている方の振動が伝わりやすいのがデメリットです。夫婦や家族で使用する場合、パートナーの寝返りの振動で目が覚めてしまう可能性があるため不向きです。
また、ポケットコイルに比べて体圧分散性が低く、硬い寝心地であるため、起きた時に肩や腰の痛みを感じる方も少なくないタイプです。
ちなみに、ボンネルコイルマットレスの耐久性はコイル品質や詰め物に依存しますが、一般的には安価で品質がイマイチな製品が多いことから、「ボンネルコイルマットレスの耐久性はあまり高くない」と考えてよいでしょう。
4-2.ボンネルコイルマットレスのおすすめの選び方
ボンネルコイルマットレスを選ぶ際には、「コイル品質」「詰め物」「きしみ音」「サイズ選び」に注意して選ぶことがポイントです。
4-2-1.コイルの品質
ボンネルコイルについても、ポケットコイル同様にコイルの品質は確かめた方が良いです。自分の好みや体型に合った硬さ、長く使える耐久性を重視しましょう。詳しいコイル品質の見方については前述した通りです。
4-2-2.詰め物の厚みと密度
ボンネルコイルは寝心地が硬い分、詰め物にも注意が必要です。詰め物のフィット性が低いものだと腰が浮いてしまうケースが多いため、ある程度の厚みがあるものを選ぶようにしましょう。おすすめは詰め物だけで5〜8cmほどの厚みがあるものです。
また、詰め物の素材や密度に関してはポケットコイルと同じ目安になります。前述した内容を参考にしてください。
4-2-3.きしみ音のチェック
ボンネルコイルはコイル同士が連結されているため、「ギシギシ」というきしみ音が出やすく不快に感じる方もいます。実際に試してみてきしみ音が出ないものや、お試し期間が設けられているものを選ぶと良いでしょう。
4-2-4.サイズ選び
最後のポイントはサイズ選びです。2人以上で使用する場合はダブルやクイーンといった大きなサイズではなく、シングルやセミシングルを二台連結して使用するのがおすすめです。隣の方の寝返りなどを気にすることなく、快適に寝ることができます。
4-3.こんな方におすすめ
ボンネルコイルのマットレスは、下記のような方におすすめです。
- 体重が重たい方やがっちり体型の方
- 硬めの寝心地が好きな方
- 比較的安価に購入したい方
- 高い通気性にこだわる方
ボンネルコイルは硬めの寝心地で、体の沈み込みがあまりありません。そのため、体重が重い方や沈み込みによる腰痛にお悩みの方におすすめのマットレスです。とはいえ、腰が浮いてしまうほど硬いと、かえって体を痛めてしまうので注意してください。
また、一般的に安価で販売されているため、予算が限られている方や寝心地に強いこだわりがない方には向いています。通気性も良いので、汗をかきやすい方や衛生面が気になる方にはぴったりのマットレスです。
5. おすすめのコイルマットレスは?
ボンネルコイルかポケットコイルか迷った場合には、ポケットコイルマットレスを選ぶのがおすすめです。ついつい安価なボンネルコイルを選びがちですが、価格だけで選んでしまうと結局体に馴染まず再度購入する可能性が高くなってしまいます。
その点、体圧分散性に優れたポケットコイルマットレスであれば、体への負担を減らし疲労の軽減にも繋がりやすいでしょう。振動が伝わりにくいというメリットもあるため、夫婦や家族で寝るベッドとしても快適です。
ただし、ポケットコイルマットレスによっても寝心地はさまざまです。コイル数や線材、詰め物の品質などを比較しながら自分に合ったマットレスを選ぶようにしましょう。
全世界で1500万枚以上のマットレスの販売実績がある「ZINUS」では、リッチな寝心地でありながら比較的手が出しやすいポケットコイルマットレス(ハイブリッドマットレス)を販売しています。「寝心地が良く、体も支えてくれるポケットコイルを探している」という方はぜひ検討してみてください。
6. まとめ
このページでは、マットレスの種類やコイルマットレスの選び方について説明しました。「ポケットコイル」「ボンネルコイル」は同じコイルマットレスでも寝心地や機能性が全く異なるため、ご自身の目的に合った選びが重要です。
マットレスは大きな買い物であり、失敗したくない買い物の一つですので、本ページで説明した選び方を参考にマットレスを検討してみてください。
とはいえ、「どちらか迷っている」「特にこだわりがない」という方には、デメリットが少なくコイルマットレスの になりつつある『ポケットコイルマットレス』をおすすめします。多くの方に合いやすい傾向にあるため、きっとボンネルコイルマットレスよりも満足感は高まることでしょう。

